「どうすれば、より幸せになれるのか」
「生きるということは、一体どういうことなのか」
こういったことは、生きていれば1回は誰もが疑問に思ったことがあると思います。
もちろん、私もあります。
疑問への自分なりの解答を見つけた人も中にはいるかと思いますが、
「まだ自分なりの解答を見つけていない」
「解答を導き出す方法すら分からない」
そういった方に是非読んでいただきたいマンガ、
『ここは今から倫理です。』
を紹介していきます。
記事の目次
『ここは今から倫理です。』の作品内容
高校の「倫理」の授業を通じ、生徒の抱える問題に関わっていく作品
出典:雨瀬シオリ「ここは今から倫理です。」単行本1巻
『ここは今から倫理です。』は、
高校の倫理という授業を通して
教師である高柳が生徒の抱える問題に関わっていくというマンガです。
難しい内容だけども、考えてみようと思わせてくれるマンガ

確かに内容は難しいマンガだと思います。
読み終わって爽快感を味わったりサッパリした気持ちになれるマンガではありません。
ですが、それ以上に
読み終わってから30分ほど「考えてみようかな」と貴重な機会を与えてくれるマンガです。
考える機会を与えてくれるマンガ
次は、考えてみる際に基となり、タイトルにも入っている「倫理」について触れてみます。
「倫理」とは?
このマンガの根幹である「倫理」。
言葉としては、
- 人として守るべき道
- 道徳
- モラル
という意味を持っています。

いまいち分からんな
大事なことなんでしょうが、道徳やモラルといったものは
抽象的すぎてよく分からないものですよね。
そこで、作中では最初の授業で「倫理」について次のように説明されています。
「倫理」は学ばなくても、困ることはほぼない
作中では、最初の授業で高柳先生は「倫理」をこう説明しています。
倫理は学ばなくても
将来 困る事は ほぼ無い学問
「困ることが無いなら、別に知らなくてもいいじゃん」
と思ってしまっても仕方ない説明です。
ですが、続いて「倫理」が役に立つ場面について説明されています。
「倫理」は大きな問題に直面した時に役に立つ
出典:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』単行本1巻
「倫理は大きな問題に直面した時に役に立つ」
そういっても過言ではないのかもしれません。
大きな問題とは、これからの人生を左右する程の問題。
- 信じられるものがなくなり、救いを求めたい
- 人間関係が悪く、うまく生きることが出来ない
- なんのために生きているのか分からない
- こうあるべきと、生き方を強制される
- 死にたい
この説明の後の高柳先生の言葉を借りますが、
倫理は別に知らなくてもいいけれど、
知っておいた方がいい気はしませんか?
「倫理」を知るマンガ
高柳先生が関わっていく生徒の問題の数々とは?
「倫理は大きな問題に直面した時に役に立つ」
この言葉を体現するかのように、作品の主人公である教師の高柳先生は
「倫理」の知識をもって生徒の問題の数々に関わっていきます。

と気になる方もいると思いますので、
私見ですが「問題」の内容を一覧にしました。
生徒の抱える問題の一覧(既刊3巻分)
生徒の抱える問題 | 生徒氏名 | 収録巻 |
性行為を施すことでしか居場所を作れない | 逢沢いち子 | 1巻 |
恋人に裏切られ将来の希望を失った | 八木まりあ | |
知識だけで全てを分かると思っている | 酒井美由紀 | |
イジメを無くそうとし、 逆に自分がイジメる危険性を抱えている | 谷口恭一 | |
傷つけてくる人間を愛せず、 傷つけてこない無機物しか愛せない | 本田奈津子 | |
何をしてもいいという自由さに不安を感じている | 間幸喜 | |
寂しさを紛らわすために周囲に迷惑をかけてしまう | 深川時代 | 2巻 |
人との距離感がうまく測れない | 都幾川 | |
普通であることに嫌気が差している | 山野亮太 | |
SNS上の架空の自分だけを優先してしまう | 安村 | |
善と悪の判断がつけられない | 近藤陸 | 2・3巻 |
喋るというコミュニケーションをとらない | 曽我涼馬 | 3巻 |
勉強を母親の期待に応えるためにのみ行う | 田村創 | |
みんなで一緒にということに嫌悪感がある | 南 | |
ストレス解消でリストカットをしてしまう | 高崎由梨 | 3・4巻 |
私見でなおかつ分かりやすく1文で無理に書き出したので、
「問題の本質はそれじゃない」と思う方もいるかもしれません。
ですが、問題の一片だとしても、多種多様な問題を取り扱っているマンガです。
中には「自分も同じような問題を抱えているかも」といった内容もあるかもしれません。
私の場合は「知識だけで全てを分かると思っている」酒井美由紀の話
出典:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』単行本1巻
私は1巻に収録されている「知識だけで全てを分かると思っている」
の問題を抱えた 酒井美由紀 という少女の話が印象的でした。
それは少なからず同じような面が自分にもあると思っているからです。

内容に関しては、是非読んでいただき自身でご確認ください。
「知識だけで全てを分かると思っている」少女の話の掲載巻
それと、触れておかなければならないのは、
「高柳先生は生徒の問題を解決はしない」
ということです。
高柳先生は生徒の問題を解決はしない

私個人の捉え方かもしれませんが、解決しません。
「生徒の抱える問題一覧」に1文だけで問題の内容を列記しましたが、
一朝一夕で解決できるような問題はないです。
高柳先生は生徒の問題に寄り添い、
必要な言葉や考え方を与えはしますが、解決しません。
解決するのは、与えられたものを消化し、昇華させていく生徒自身。
読み終わった後には、
- 生徒は問題を解決できたのだろうか?
- 生徒は「どう生きる」のだろうか?
そういったことを思わず考えてしまいます。
だからこそ、私はこのマンガを
「爽快感は味わえないものの、それ以上に考える機会を与えるマンガ」
と評します。
「どう生きる」を考えるマンガ
出典:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』単行本1巻
高柳先生は、倫理の授業を通して生徒の問題に関わっていきます。
ですが、必要な言葉や考え方を与えはしますが、問題を解決しません。
問題を解決するのは、問題を抱えている生徒自身だからです。
このマンガを読み終わった後には、
「生徒は問題を解決したのだろうか、どう生きていくのだろうか」
と考える時間が作りたくなっているはずです。
そして、マンガの人物のことのみならず
「自分はどう生きるのか」
ということも考えたくなるかもしれません。
そろそろ記事の締めに入ります。
『ここは今から倫理です。』の特徴である、
哲学者や偉人の言葉を作中に組み込む点。
私もそれにならって、この記事を締めようと思います。

最上の証明は経験だ
「読む」という経験なくして、
「どう生きる」を考えたくなるかは証明できないのかもしれません。
「どう生きる」を考えるマンガ